薬剤師が勧める『紫外線とのつきあい方』

薬剤師コラム

日焼けや皮膚がんを予防するためには正しい紫外線対策が必要です。しかし、紫外線を過剰に恐れ、避けすぎることも健康にとってマイナス。正しい知識を身につけ、紫外線と上手につきあうことが大切です。

正しく知って備える紫外線

そもそも紫外線とは

大陽光は波長の短い方から外線、可視光線、赤外線に分けられ、外線はさらにUV-C、UV-B、UV-Aに分類されます。UV-Cは波長が短く、オゾン層などで吸収されるため地上まで届きません。 紫外線というときは、通常、UV-BとUV-Aを指します。

UV-Aは部屋の中にも侵入

UV-Aは波長が長いため、普通の透明ガラスやカーテンだと一定量通過します。室内の日の当たる場所で長時問過ごす場合は、ぺアガラスや遮光カーテンを使用するといいでしょう。

UV-Aは肌の奥まで届く

波長の長いUV-Aは肌の奥の真皮にまで届き、コラーゲンやエラスチンをつくる線維芽細胞にダメージを与えます。長く浴び続けると皮膚の弾力が失われ、シワができやすくなります。

UV-Bは肌を赤くする

波長が短いUV-Bは表皮にしか届きません。しかし、UV-Bが表皮に当たると、表皮の一番下の基底層にあるメラノサイトという細胞が黒いメラニン色素をつくるため、肌が赤くなります。

UV-Bは肌でビタミンDを合成

UV-Bを浴びると皮下でビタミンDが合成されます。ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を促して骨を強化するほか、がんや感染症の予防にも働いているといわれます。過剰な紫外線対策は ビタミンD不足の危険を高めます。

目や髪の毛にも影響

強い紫外線を浴びると、目には充血や角膜炎などの症状が出ます。長年、紫外線にさらされると、白内障や翼状片が引き起こされることも。パサつきやツヤの低下など髪の毛にも影響。

曇りの日でも届く

曇りの日は雲に遮られている分、紫外線量は少なくなりますが、それでも快晴時の50~75%は肌に届いています。雨の日でも20~30%届くので、天気が曇りや雨だからといって油断は禁物。

地域や季節で量が変動

南に行くほど紫外線は強くなり、沖縄と北海道では約2倍の差が。同じ緯度では標高が1000m上昇するごとに紫外線量は10~12%増加。1年のうちでは6~8月が最も強くなります。

妊婦さんの紫外線不足が赤ちゃんに影響!

お腹の中の赤ちゃんはお母さんからの栄養で成長します。妊婦さんが紫外線を避けすぎるとビタミンD欠乏状態になり、生まれてくる赤ちゃんの骨の発達に影響するといわれています。

紫外線との上手なつきあい方

必要以上に避けてもいけないし、浴びすぎてもいけない紫外線。ではどんなつきあい方をすればよいのでしょう。肌だけ紫外線対策をすれば十分というわけではありません。また、その肌対策にもコツがあります。

自分の肌タイプを確認

肌タイプにより紫外線の皮膚への影響が異なります。黄色人種の場合は、①すぐに赤くなって黒くならない②赤くなってそのあと黒くなる③赤くならずに黒くなる、の3種類。①②の人は要注意。

紫外線の多い時間帯を知る

正午をはさむ数時間が、紫外線量がー番多くなります。夏場では、午前10時 ~午後2時に1日の紫外線量の約60%が降り注ぐといわれます。この時間帯の外出はできるだけ控えましょう。

日焼けしやすい場所を知る

海辺やスキー場などは紫外線の散乱光があふれていて、あらゆる方向から紫外線が降り注いでいます。山も紫外線が多い場所。こうしたところへ出かけるときは入念な紫外線対策を。

しっかり実践!部位別対策

紫外線の影響が一番大きいのはなんといっても肌。それだけに、いくつもの対策が必要です。

帽子や日傘を上手に利用

帽子や日傘は持ち運びのできる日陰のようなもの。帽子はつばの幅が広いものを。布地の色が濃いほうが紫外線を吸収しますが、熱も吸収します。日傘は、外側は白、内側は黒がおすすめです。

シーンに合わせた日焼け止めの選び方

日焼け止めの表示にあるSPF値はUV-B、PA値はUV-Aの遮断効果を示します。すべての状況で最大値のものを使う必要はなく、シーンによって使い分けましょう。光線過敏症など疾病に伴う紫外線に特に過敏な方は医師の指導に従ってください。

量が大事! 日焼け止めの塗り方

クリーム状の日焼け止めはパール1個分、液状のタイプは1円硬貨大を額、 鼻の上、両頬、顎に分けて置き、まんべんなく伸ばします。同じ量でもうー度同様に塗ります。

塗り忘れしやすい 部位をチェック

耳の後ろや首、肩、手の甲などは塗り忘れしやすいところです。こうした 部位は、特に意識して塗りましょう。 日焼けしやすい額や鼻、頬などは重ね塗りをするとよいでしょう。

こまめに塗り直す

化粧と同じで、日焼け止めも汗をかいたり水に濡れたりすると流れてしまいます。汗をかいたなと思ったらそのときに塗り直しを。基本的には2~3時間ごとに塗り直すのがおすすめ。

衣類選びにも気をつけて

布地の目が大きいほど紫外線が通過しやすくなります。素材は綿よりもポリエステルのほうが紫外線の通過量が低下。染料が十分に紫外線を吸収するので、薄い色でも大丈夫です。 黒い服は熱を吸収し、熱中症になることがあります。

日焼けをしてしまったら

日焼けをしたら、なるべく早く濡れタオルや保冷剤、氷などで肌を冷やします。赤みやほてりが落ち着いたら化粧水で肌に水分を補給。水ぶくれや頭痛などがあるときは医療機関へ。

ビタミンD不足にならないために

ビタミンDが不足すると、 骨へのカルシウム沈着が十分でなくなり骨が軟化。 そのため、骨粗しょう症や骨軟化症などの病気を招きます。子どもの場合は足の骨が曲がってO脚になったり、くる病の危険が高まったりします。食事だけでビタミンDを十分に摂取することは困難なので、紫外線を浴びて体内で産生しましょう。夏場だと、朝の出勤前や夕方に日傘などの対策なしで30分~1時間の散歩を。他の季節はそれより少し時間を長めに。

体の内側からの対策

紫外線を浴びると皮膚の組織内で活性酸素が大量発生し、シワやシミの原因になることも。緑黄色野菜やナッツ類に多く含まれるビタミンAやC、トマトに豊富なリコピンなど、抗酸化作用のある養素を積極的に補給して。

子どもの紫外線対策

子どもの皮膚は大人よりも薄く紫外線の影響を受けやすいので、日差しの強い時間帯に戸外で過ごすときはしっかりと紫外線対策をしましょう。赤ちゃんの散歩や日光浴は、朝夕の涼しいときに行うようにしましょう。

紫外線は目にも入ってきます。特に戸外での活動時間が長い人は要注意。

朝、夕こそサングラス

目に入る紫外線量は、太陽が高い位置にあるときよりも低い位置にあるときのほうが多くなります。朝夕こそUVカットレンズを使ったサングラスで目を紫外線から守りましょう。

サングラスの色と形のポイント

色の濃いサングラスをかけると、視界が暗くなるため瞳孔が普段より大きく開くので色の濃すぎないものを選んで。顔にフィットしたサングラスで正面以外からの紫外線もカット。

髪は体の中で一番太陽に近く、紫外線ダメージを受けやすいところです。

紫外線に当たる範囲を少なく

外出時には日傘や帽子で紫外線が当たる範囲を少なくして。 長い髪の人は頭の低い位置でまとめて帽子のつばに収めたり、日よけカバー付きの帽子を利用したりするなどの工夫を。

いつものケアを丁寧に

日焼け後の髪はいつも以上にやさしく洗いましょう。髪を乾 かすときはドライヤーを髪から離して短時間で済ませて。外出前にUVカットスプレーで髪を保護するのもよい方法です。

唇が荒れたりヒリヒリしたりするときは紫外線による日焼けかも。

UVカットのリップクリームも

唇が日焼けをすると、唇の水分が蒸発して乾燥や皮剥けが起きたり、唇の縦ジワが深くなったりします。UVカット効果のあるリップクリームなら、 紫外線と保湿の両方の対策ができます。

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引用

“引用文献:classA Life”

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