睡眠は体を休めると同時に、脳を休める役割もあります。また、ぐっすり眠った後の気持ち良さは、「今日も頑張ろう」という活力にもなります。生涯のほぼ3分の1を占める睡眠。私たちの体は体内時計により、夜、自然に眠くなり、朝になると目覚めるように設定されています。この生体リズムに合わせた生活が快眠生活につながります。そのためには「眠気」「光」「体温」がポイントになります。質の良い眠りで心身を健康に保ちましょう。
原則①眠気とうまく付き合うべし
眠気の生体リズムには2つの山があり、午前2時~4時頃と午後1時~3時頃に強い眠気が生じます。昼食後や、体を動かしたり脳を使った日の眠気は、むしろ健康の証。その眠気を上手に利用しましょう。
●注意すべき眠気のサインを知っておこう
午前中から眠い、いくら寝ても寝足りない、突然の耐えられない眠気で仕事に支障が。そんな眠気 は要注意。不眠症や睡眠時無呼吸症候群、うつ病などの可能性も。早めに睡眠改善の対策を。
●昼寝は30分以内、夕方以降は仮眠をとらない
睡眠不足の人は、午後の眠気の山を利用して昼寝を。 30分以上眠ると眠気が残ってしまったり、夕方以降に寝ると夜の睡眠に影響するので注意。それよりも早めに床につく工夫を。
●カフェインを上手に利用
昼寝の前にカフェインを含むコーヒーやお茶を飲めば、快適な目覚めが期待できます。30分ほどで覚醒作用が出てくるからです。 逆に、夕方以降の時間にカフェインを摂ると夜の眠気を妨げるので避けて。カフェインを摂りすぎると頭痛や倦怠感などを引き起こすことがあります。コーヒーは1日3~4杯くらいが目安です。
●朝の熱めのシャワー
朝、熱めのシャワーを2~3分浴びると、活動を促す交感神経が刺激され、心身共にシャキッとします。
●試してみよう快眠ストレッチ
適度な運動は、朝、体をしっかりと目覚めさせたり、夜、体を眠る態勢にしたりするのに有効です。ストレッチは息を止めずに行いましょう。
1.寝たままのび
腕を上げてお腹と背中をしっかり伸ばし5秒間キープ。2~3回繰り返す。
2.腰をひねる
腰をひねり片膝を曲げて手で支え、10秒間キープ。反対側も同様に。肩は床につけたまま行いましょう。
3.猫ののび
四つんばいの姿勢から両手を前方に伸ばし胸を床に近づけて、背筋を弓なりに反る。
4.手足ぶらぶら
両手両足を床と垂直に上げて、1~2分間ぶらぶらと揺らします。
5.肩まわし
手を肩にあててひじを大きく前に5回まわします。 反対方向も同様に。
原則②光を上手に利用すべし
人間は昼行性動物で、基本的に日中が活動期(覚醒)、夜間が休養期(睡眠)となります。この覚醒と睡眠に深く関与しているのが光です。光を上手に活することが快眠につながります。
●カーテンオープンが目覚めスッキリの鍵
カーテンを半分開けておき、寝室に光を入れましょう。起床の30分前ぐらいから徐々に明るくなる光で起きると、より自然にスッキリと目覚められることが証明されています。さらに、朝日は体内時計をリセットし生体リズムを整える効果があります。
●夜の室内は暗めに
夜の室内は、間接照明や白熱電球のような暖色系の光のほうがリラックスできます。 また、人間は本来、闇の中では敵に襲われないかと不安になるもの。フットライト程度のほのかな明かりがあるほうが安心して入眠できます。
●夜中にコンビニなどに行かない
眠る前に強い光を浴びると、眠りを誘うメラトニンの分泌が抑制され、眠りにくくなります。コンビニやスーパーなどの照明は一般にとても明るいものが使われています。 深夜、こうした店に行くことはできるだけ控えたほうがよいでしょう。
●パソコンやスマホを夜遅くまで見ない
パソコンや携帯電話の画面は明るいので、 夜遅くまで見ていると睡眠の妨げに。また、脳が活発に働くことも眠気を遠ざけます。熱中しすぎる内容の読書なども避けて。パソコンや携帯電話は就寝1時間前までに手放しましょう。
●高齢者は意識して外に出よう
高齢になり活動量が減ってくると、思った以上に光を浴びていないことでメラトニン分泌不足に。すると体内時計のリズムが崩れたり、睡眠障害になったりします。午前中も午後も積極的に外に出て光を浴びましょう。
原則③体温をコントロールすべし
体の内部の体温(深部体温)が下がると、脳から眠くなるよう指令が出て、眠るときはさらに深部体温が下がります。体温をコントロールすることで、眠気を誘うことができます。
●朝食を食べて体温を上昇させる
朝食を食べると胃や腸などの動きが活発になり、熱を産生します。それにより眠っている間に低下した体温が上昇し始め、体は活動態勢に。逆に朝ごはんを食べないと、昼食や夕食の後の体温が上がりにくいことが分かっています。
●寝付きに悩む人は入浴を工夫
昼間の活動によって上昇した体温が下がってくると眠気が。寝つきに悩む人はぬるめの湯にゆっくり入浴。上昇した体温が下がるのは入浴後15~30分。このタイミングで床につくとよいでしょう。熱すぎる湯は神経を興奮させるので逆効果。
●布団と体の間の温度と湿度に注意
夏場はエアコンを使って室温を上げないことが大切ですが、冬場は室温よりも寝具で調節。布団と体の間の温度と湿度に注意。温度の目安は体温よりやや低32度前後、湿度は、快適に感じる(50%前後) くらいが最も寝つきが良いといわれます。
●夜は激しい運動は避けて
夜激しい運動をすると、せっかく下がり始めた体温が再び上昇してしまいます。激しい運動はむしろ日中に行い、体温を上げて体内リズムのメリハリをつけることが効果的。夜は軽めのストレッチがおすすめです。
さらにこだわる快眠術
「眠気」「光」「体温」の3原則に加えると、快眠をぐっと手に入れやすくなる、お得な情報です。
●心地よい寝具を揃える
枕やマットレスなどを購入する際は、必ずお店で実際に寝て、自分に合ったものを選んで。
1.枕
首と頭の後ろの隙間を埋める程度の高さで、枕のことを忘れるくらい体と一体感があるものを。
2.マットレス (敷布団)
横になったときに、腰が浮かずに楽に寝返りができるマットレスを基本に選びましょう。
3.掛け布団
重いと寝返りが打ちにくいので比較的軽いものを。羽毛布団の上に毛布をかけると温かさを保てます。
4.寝間着
寝返りがしやすいように、 ゆったりした寝間着がよいでしょう。冬は保温性、夏は通気性を重視して。
●強力な味方、快眠グッズ
睡眠の悩みを軽減してくれる快眠グッズ。今や多種多様な種類が揃っています。
1.光る目覚まし時計
朝日が昇りだんだん明るくなるように、徐々に光を放ってくれるので、目覚めがすんなり。
2.布団乾燥機
就寝前に布団乾燥機で布団の湿気をとると同時に布団を温めておけば、気持ち良く眠れます。
3.湯たんぽ
湯たんぽは 前もって布団の真ん中に置いておき、寝るときに足の当たらない場所にずらすのが効果的。低温やけどに気を付けましょう。
●快眠のための食事法
規則正しい食事はぐっすり眠るための基本。さらに、メニューやタイミングにも気を付けて。
1.朝食
乳製品や大豆製品などに多いトリプトファンを朝摂れば、 夜メラトニンの分泌が盛んに。
2.夕食
食べてすぐ寝るのは肥満のもと。夕食は就寝の3時間ぐらい前までに。適量のたんぱく質で疲れを回復。
●どうしても眠れないときは寝床から離れて
「眠りは追いかければ追いかけるほど逃げていく」といわれます。寝つけないときは一旦床を離れて音楽を聴くなど、自分なりの方法で。リラックスし、眠くなってから再び床へ。
●睡眠負債って何?
睡眠不足が蓄積された状態を「睡眠負債」といいます。睡眠負債は一度には返せません。睡眠負債と思われるときは、休前日はいつもより早く寝るとよいでしょう。なお、睡眠リズムが崩れる原因になるので、起床時間は2時間以上ずらさないようにしましょう。
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引用
“引用文献:classA Life”