薬剤師が勧める『体ぽかぽか計画』

薬剤師コラム

体が冷えると血液の温度が下がり、血液の粘度が増して血流が悪くなります。すると血液による栄養や老廃物などの運搬が滞りぎみになり、胃の不調、頭痛、肩こりなどさまざまなトラブルが起こりやすくなります。冷えは万病のもとで、いわば文明病。エアコンや冷蔵庫などの普及で私たちの体は外から内から冷やされています。車や電車などの交通機関の発達により、歩く機会が減り運動不足に。ストレスも心身を冷やします。冷えの原因は現代社会そのものといえます。

マッサージ・ツボ編

マッサージやツボ押しは筋肉の緊張を緩め、血行を促し、冷え解消に効果的です。

手マッサージ

①ほおずきもみ

右手の親指と人差し指の腹を合わせ、左手で右手の人差し指の爪の両側を押す。 右手の親指と人差し指を押し合う。以上を交互に行い、指を変えて同様に。

②指組み

第一関節より少し指 先側で左右の指を交互に組み、卵を包み込む感じで両手を丸め、1分間キープ。力を入れすぎないこと。

足マッサージ

①足指回し

片手で足首をもち、もう一方の手で足指をつまんで、右まわり、 左まわりにそれぞれ5回ずつ。 すべての指で行います。親指と人差し指で足指の両側をはさみます。

②すねふくらはぎもみ

両手でふくらはぎをはさみ、すねの骨を軸にした内側と外側のラインを人差し指で下から上へもみ

ます。

おススメ4つのツボ

①百会(ひゃくえ)

頭のてっぺん、左右の耳の先端を結んだ線と眉間の中心ををまっすぐ後ろにのばした線の交差するところ。 ストレス解消にも有効。

②湧泉(ゆうせん)

足の裏の中央より少し前にあり、指を折り曲げたときにできるくぼみの真ん中。体力と気力が高ま るツボです。

③足三里(あしさんり)

向こうずねの外側、ひざの皿 (膝蓋骨)の下のくぼみから指4本分下。全身の症状に有効な万能ツボです。 肩こりや下痢・便秘にも。

④三陰交(さんいんこう)

すねの内側で、内くるぶしの頂点から4本分上がったところにあります。のぼせやむくみにも効くといわれます

筋トレ・ ストレッチ編

筋肉は熱(体熱) を産生する重要な組織です。その熱を運ぶのが血液です。筋肉を鍛え、血液の流 れをよくする運動を習慣化しましょう。

下半身簡単筋トレ

①スクワット

太ももとお尻の大きな筋肉を同時に刺激できるので、効率的に筋肉量を増やすことができます。

手を腰にあて、立った状態から、ひざがつま先よりも前に出ないように意識して3秒かけてお尻をひくように 腰を落とし、3秒かけて戻します。背中は丸めず少し前傾に。10回繰り返します。

②かかと上げ下げ

第二の心臓といわれる ふくらはぎを鍛えることで、そのポンプ作用が活発になります。

両手でイスの背もたれにつかまって立ち、背筋を伸ばしたままかかとを上げたり下げたりします。つま先と目線は正面に。20~30回 繰り返します。

血流改善ストレッチ

①太もも付け根

腰痛の緩和にも効果があるストレッチです。腰に不安を抱えている人は足を伸ばすとき慎重に。

両ひざを曲げて両手を床につき、片方の足を後ろにまっすぐ伸ばします。そのまま腰を前方に移動させます。頭、腰、後ろ足が直線上にくるように。

②ひざの裏

ひざの裏が硬くなって伸びなくなると、体がゆがみやすくなります。太ももの筋肉にも悪影響が。

「気をつけ」の体勢から片方の足を前に出します。反対側の足を少し曲げ、上体を前に倒して、前に出した足のひざの上に両手を重ねます。

③ふくらはぎ

ふくらはぎの腓腹筋(ひふくきん)が硬いと、血行が滞りがちになり、足先が冷える原因に。

壁の前に背筋を伸ばして立ち、両手を壁について足を前後に開き、後ろ足のふくらはぎを伸ばします。このとき、後ろ足のひざを曲げないこと。

④太もも前側

太ももには大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という体内で最も強くて大きな筋肉があります。立ち上がりや歩行、走行に関与する筋肉です。足を伸ばして座り、両手を後方の床につきます。片方の足を曲げて、ゆっくりと上体を後ろに倒します。

⑤太もも裏側

太ももの裏にあるハムストリングをストレッチ。 足の疲れ解消にもなります。両足を広げて床に座り、片方の足を内側に曲げます。 伸ばしたままの足に向かって体をゆっくり倒します。伸ばした足のひざはなるべく曲げないこと。

⑥すね

すねにある筋肉は歩行や走行時の着地を支えます。よく歩いた日の足のケアにおすすめです。

両手を腰にあて、片方の足を後ろに下げます。かかとを上げて、ひざからつま先までまっすぐになるように甲を前に押し出します。

食事編

食事は体熱(体温)を生み出すエネルギー源。それだけに冷え対策の重要なポイントです。

温・冷食材を知ろう

東洋医学では、体を温める食材と冷やす食材 があるとされています。体を温める食材の特徴は、水分が少ない、寒い時期が旬であるなど。体を冷やす食材でも加熱すれば体を温める性質に変わります。

よく噛んで食べよう

よく噛むことで脳の咀嚼中枢が刺激され、脂肪の燃焼が促進されて熱を産生します。食材を大きめに切る、コンニャクやシイタケなど噛まないと飲み込めない食材を選ぶといった工夫で噛む回数を増やしましょう。

冷たいものを食べすぎない

冷たいものは口や食道、胃、腸を直接冷やし、下痢や便秘などの原因に。腸内には免疫を担うリンパ球の半数以上が存在するので、 腸が冷えてリンパ球の働きが低下すると、風邪などの感染症にかかりやすくなります。

スパイスを活用しよう

トウガラシやコショウ、ショウガ、シナモンなどのスパイスは体を温める食材。中でもショウガは血流をよくするジンゲロールや、 脂肪や糖質の燃焼を促すショウガオールを含む、体を温める食材です。

入浴編

入浴で全身をしっかり温めましょう。体内の老廃物や余分な水分を排出する効果も。

ぬるめのお湯にじっくりと

38~40度ぐらいのぬるめの湯に肩までしっかり浸かる全身浴がおすすめです。副交感神経が優位になるので、心身ともにリラックスできます。浸かっている時間は最低でも10分以上に。理想は約30分です。

浴室や脱衣所を暖める

暖かい居間などから寒い浴室や脱衣所に 動、そして温かい湯に浸かると、血圧が上下し、心臓に大きな負担がかかります。シャワーで湯をはったり、暖房器具で脱衣所を暖めるなどの対策をしましょう。

お風呂上がりはすぐに体を拭く

お風呂から上がったら濡れた体をすばやく拭き、冷えやすい下半身から服を身につけましょう。また、冷えやすい人は入浴後、できるだけ早く布団に入ると、体が温かいままスムーズに眠ることができます。

知っておきたい ぽかぽか小咄

男の人も子どもも冷えている?

女性だけでなく、ストレスにさらされ、運動不足でもある男性にも冷えが急増中。 しかも、冷えの自覚がないので対応が遅れがちに。生まれたときからエアコンや冷蔵庫のある環境の中で育っている子どもたちの体も冷え切っています。男性も子どもも体を温めましょう。

ちょっときついことのすすめ

洗濯物を干すとき、面倒でもしゃがんで洗濯物を1枚ずつカゴから取る、多少きつくても今よりも1.5倍ほど速く歩く、電車の中では座らずにつま先立ちをする。こうしたちょっとやり辛いことが体をポカポカに。

寝相がいい人は冷えている!?

新陳代謝が活発で大人より体温の高い子どもは、寝相が悪いもの。逆にいえば、寝返りを打った途端、布団が冷たくてすぐに元の姿勢に戻ってしまうような寝相のいい人は、体温が低く、体が冷えている可能性が!

Keep on smiling!
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引用

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