薬剤師が勧める『昨年に引き続き・・花粉症対策指南』

薬剤師コラム

今年も憂鬱な花粉シーズンがやってきました。できればつらい症状が出ないまま快適に春を迎えたいもの。それには、花粉に負けない体づくりが欠かせません。

花粉が体内に入ってくると花粉を異物と認識し、抗体がつくられます。再び花粉が体内に入ると、その抗体が結合している細胞からクシャミや鼻水などを引き起こす物質が分泌され、神経や血管を刺激して、花粉を排除しようとするのです。

指南①花粉を徹底的に排除すべし

花紛症の原因である花粉と接触しないことが肝心です。

見逃しがちな トイレ・エアコン・ソファ

換気扇からの侵入や洋服の脱ぎ着により花粉が落ちやすいトイレ、室内の空気を吸い込むエアコン、ソファの座面とひじ掛けなどの隙間も要注意。

掃除機は手前に引く

掃除機は基本的に押してゴミをかき上げ、引いてそれを吸い取る仕組みになっています。花粉をしっかり除去するには掃除機を手前に引いて。

床の掃除は朝イチがおすすめ

花粉はとても軽く、人が動くだけで舞い上がります。 しかし、皆が寝静まっている間に、空中の花粉が床に落下。朝の掃除でそれらを一網打尽に。

寝具は粘着クリーナーで花粉除去

日中はあまり人が入らない寝室。その間、寝具の上には花粉が落下している可能性が大。寝る前に寝具に粘着ローラーをかけて花粉を除去。

帰宅時は玄関を開ける前に上着を脱ぐ

帰宅したら玄関の前で上着を脱ぎ、花粉をしっかり払い落として。手で払い落とすだけで衣類に付着した花粉が約3分の1になるという実験結果も。

花粉の付きにくい素材を選ぶ

生地表面に凹凸のあるウールは花粉が付きやすい素材。外出するときは、表面がツルツルした素材 を使った衣服を着るのがおすすめ。

換気はカーテンを閉め窓開け10cm

新型コロナウイルス感染症対策にはこまめな換気が大切。その際、カーテンを閉め窓を10cm程度開けると花粉の侵入をかなり減らせます。

花粉を99%カットするインナーマスク

鼻の症状を軽くするにはマスクの装着が有効。マスクの内側の下にガーゼでくるんだコットンを当てると、鼻に入る花粉を約99%カット。

洗濯物は部屋干し、 布団は乾燥機

室内に入った花粉の約4割は、外干しした洗濯物や布団に付着したものだったとの報告が。洗濯物は部屋干し、布団は布団乾燥機を使用して。

指南②自律神経を整えるべし

意志とは無関係に血管や内臓の働きを支配する自律神経には、心身の働きを活発にする交感神経とリラックスさせる副交感神経があります。交感神経が優位となって自律神経のバランスが乱れると免疫力が下がり、花粉への抵抗力も低下します。

ストレスの原因を考える

自律神経が乱れる最大の原因はストレスです。

仕事のプレッシャーや人間関係のトラブルなどだけでなく、季節や天候、気温、気圧などの外的要因が原因になることも。 ストレスをためないように上手に解消を。

ウォーキングなどの軽い運動をする

適度な運動は、血液の循環を促し自律神経を整えますが、激しい運動だと交感神経が極度に高まり、かえって自律神経のバランスを乱すことに。ウォーキングやサイクリングなどの軽い運動がおすすめです。

香りでリラックス

アロマの中には副交感神経を刺激して心身をリラックスさせるものがあります。その代表がラベンダー。ラベンダーティーを飲んだり、精油でアロマテラピーを楽しんだりしてはいかがでしょうか。

深呼吸で横隔膜を動かす

自律神経は全身に広がっていますが、特に横隔膜の周囲に集中しています。自律神経は自分の意志で動かすことはできませんが、深呼吸で横隔膜をゆっくり動かすことで、自律神経を整えることができます。

朝日を浴びて体内時計をリセット

私たちの体には活動期と休息期という体内時計のリズムがあります。 就寝中、休息期にあった体は、朝の太陽を浴びることで活動期が来たことを知り、交感神経が活性化し、心身の働きが活発になります。

ぬるめの湯船に浸かる

ぬるめの湯にゆったりと浸かると副交感神経が優位になり、寝つきがよくなります。湯温が高かったり、シャワーだけですませたりすると、逆に寝つきを悪くする交感神経を高めるので避けましょう。

睡眠の質と量を見直す

心身の働きを活発にする交感神経が優位になりやすい状態で眠りにつくと、眠りが浅くなり、睡眠の途中で何度も目が覚めるなど睡眠の質と量が低下。寝る前にリラックスして副交感神経を優位にして。

バランスの良い食事をとる

自律神経を整えるにはバランスの良い食事を規則正しくとるのが基本です。朝食には自律神経を整えるセロトニンというホルモンの原料になるトリプトファンを多く含む乳製品や卵などを積極的にとって。

指南③腸内環境に気を遣うべし

食べたものの栄養や水分を体内に取り入れる腸には、全身の免疫細胞の約7割が集まってバリアの役目を果たしています。腸の調子を整えることは免疫細胞を活性化させ、花粉症によい効果をもたらすことが期待できます。

よく噛んで食べる

よく噛むと唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促進されます。唾液にはでんぷんをブドウ糖に分解する消化酵素が含まれています。また、 噛むことで食べた物を口の中で軟らかくし、腸の消化を助けます。

腹八分目を心がける

食べた物がどんどん腸に送り込まれると、腸はオーバーワークになり、 十分な働きができなくなります。食べすぎは肥満のもとになります。腹八分目の食事を心がけましょう。

冷たい物は控える

冷たい物を食べると、体が冷えてしまいます。 すると血行が悪くなり、 腸の働きが低下して下痢や便秘になりやすくなります。また、消化酵素の働きも悪くなり、 消化不良を招くこともあります。

食べてすぐ寝ない

食後すぐに寝ると、胃や腸の消化活動がまだ続いているため、眠りの質が低下。また、夜間は消化酵素の分泌量が減るため、胃が消化吸収しきれないことも。食事は寝る2~3時間前までにすませて。

腸内環境を整える乳酸菌やビフィズス菌

乳酸菌やビフィズス菌などを毎日摂ると、花粉症の症状を緩和するとの研究結果が報告されています。これらの善玉菌は、悪玉菌が引き起こす腸内の腐敗を防ぎ、 免疫機能を活性化させるといわれています。

腸内細菌のエサになるオリゴ糖

バナナ、タマネギ、大豆、ゴボウなどに多く含まれるオリゴ糖は熱や酸に強く、腸まで到達しやすい特性が。腸では腸内細菌のエサとなって善玉菌を増やします。ただし、毎日摂取することが重要。

腸内細菌のエサになる水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は腸内細菌により発酵分解されると腸内を酸性にして善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌を増やし、腸内環境を良くします。コンブ、ワカメ、コンニャク、大麦などに多く含まれます。

便のカサを増し、腸内環境を整える不溶性食物繊維

腸内に便がたまりすぎると免疫細胞の働きが低下。不溶性食物繊維は水分を吸収して膨張し、便 のカサを増やしたり腸の蠕動運動を盛んにしたりして排便を促進。豆類、 穀類、野菜、 キノコ類、コアなどに多く含有。

花粉症の豆知識

花粉は1年中飛んでいる?

この時期の花粉症の主な原因はスギ花粉ですが、3~5月ごろはヒノキ花粉による花粉症が増加。5~9月ごろはカモガヤ、8~10月ごろはブタクサやヨモギが主な原因に。ほぼ 1年中花粉症を引き起こす花粉が飛散しています。

モーニングアタック(起床時の強い花粉症状)

起床時に花粉症状が強く現れるのがモーニングアタック。就寝中に優位だった副交感神経から、活動時に優位になる交感神経への切り替えがうまくいかないためといわれます。体がしっかり目覚めてから起き上がりましょう。

花粉症治療の最新トピックス

花粉症の根治を目指す治療法の主流が少量のアレルゲンを舌の下に入れる舌下免疫療法です。2014年には液状タイプが、18年からは錠剤タイプが登場。また、19年12月には重症者を対象にした新しい治療薬が保険適用になっています。

花粉症と間違えやすい寒暖差アレルギー

昼夜の寒暖差が大きいときなどに花粉症に似た鼻症状が現れるのが寒暖差アレルギーです。一説には、寒暖差(およそ7℃以上)が刺激となって自律神経のバランスが崩れるのが原因とも。マスクなどで冷気が鼻・のどに触れるのを避けましょう。

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引用

classA Life

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