薬剤師が勧める『コツコツ続けて骨、元気』

薬剤師コラム

骨は活発に代謝している生きた組織です。古くなった骨を壊す細胞 (破骨細胞)と、新しい骨をつくっていく細胞(骨芽細胞)の連携により、骨は常につくり替えられ、約5年ですべての骨が新しく入れ替わります。成長期は骨芽細胞の働きが活発で、骨量は増え続けますが、20歳くらいになると骨芽細胞と破骨細胞の働きは同程度になります。その状態が40歳代前半まで続き、それ以降は破骨細胞の働きが勝り、 骨量は減少の一途をたどります。

早春コツコツウオーキング

春の日差しが感じられる今日この頃、戸外を歩きませんか。気持ちがよいうえ、骨にもよい影響が。

骨にいい3つのこと

①かかとからの着地で骨に刺激

宇宙飛行士が地球に戻ってくると、骨量が減っているというのは 有名な話です。宇宙の無重力の 境では骨に体重の負荷がかからないため、骨が弱くなってしまうのです。

ウォーキングは骨にじっくりと負荷をかけ、しかもその刺激が繰り返されるため、大きな力が加わる運動と同じくらいの効果があるといわれています。かかとからしっかり着地しましょう。

②ビタミンDを皮膚で合成

ビタミンDは、骨の重要な材料であるカルシウムの小腸からの吸収を助けています。ビタミンDが不足すると骨が弱くなり、骨折しやすくなることがわかっています。

ビタミンDは食物から摂取できるだけでなく、紫外線を浴びることで、皮膚で合成されます。春先で あれば手のひらを15分程度日光に当てるだけで、1日の必要量以上のビタミンDが合成されます。

③バランス力の維持・ 向上で転倒防止

バランス力が低下すると、ちょっとしたはずみで転倒しやすくなります。そのうえ、骨量が減っていると、転倒による骨折、さらには寝たきりへと進みやすくなります。

バランスが悪くなると、まっすぐ歩けなくなったり、バランスをとるために歩幅が狭くなったりします。美しいフォームでのウォーキングはバランス力の維持・向上につながります。

ウォーキングのポイント

①顔は正面に向けて

顔を下に向けると猫背に。 顔を正面に向けて遠くを見るようにすると背筋が伸びやすくなります。

②腕を後ろに振ることを意識

腕を後ろに振ることを意識すると重心が前方に移動。歩幅も自然と広くなり、歩く速度がアップ。

③左右の腕は平行に

内また歩きや外また歩きは腰や関節に悪影響。両腕が平行になるように振ればつま先は常に進行方向に。

コツコツ簡単運動

運動は毎日の積み重ねが大切です。気軽にできる簡単運動をご紹介。腰や足に痛みのある人は痛みのない範囲で行いましょう。

下半身:かかと落とし(1セット 20~30回 1日1~3セット)

かかとの骨に負荷を与え、 その刺激を全身に伝えます。ふくらはぎの筋力アップの効果も。両足をそろえてつま先立ちに。つま先にかけていた体重をかかとに移す感じで、かかとを一気に落とします。

下半身:1段昇降運動(昇降を1セットとし 1日50セット)

体重を上下方向に移動させる昇降運動は平地での歩行よりも、多くの筋肉に負荷をかけられます。片足ずつ踏み台に上り、両足をそろえます。そのままの向きで、片足ずつかかとから床に下ろします。

下半身:片足立ちフラミンゴ(左右を1セットとし 1日5~6セット)

足の付け根の骨を強くしたり、おなかやお尻、太ももの筋力やバランス力を向上させます。片方の手でイスの背もたれにつかまり、片足を床から5~10cm上げ、1分間キープ。反対側の足も同様に。

下半身:腰を後ろに引くスクワット(1セット5~10回 1日1~3セット)

背中やおなか、 腰のまわり、太ももなど、下半身の筋肉をバランスよく鍛えることができます。膝がつま先より前に出ないようにして、お尻をゆっくり下げ、元の状態にゆっくりと戻します。

筋力が低下している人は机に手をつき、背筋を伸ばしてイスからゆっくり立ち上がったり座ったりしましょう。

上半身:上体起こし(1セット 5~10 回 1日1~3セット)

背中をそらすことで、立ち上がる動作や腹式呼吸など、生活に密接に関わる腹部の筋肉を鍛えます。うつ伏せになり、床に手をつき、両手の力で上体を起こして10秒間キープ。 ゆっくり元に戻します。

上半身:背筋運動(1セット5~10回 1日1~3セット)

立ったときに姿勢を安定させる背骨やそのまわりの筋肉を強化し、背中の曲がりを防ぎます。へそのあたりにクッションを入れて上半身を無理なく起こせる範囲で5~10秒静止。ゆっくり元に戻します。

上半身:腹筋運動(1セット5~10回 1日1~3セット)

腹筋を鍛えることで、背骨を支える力をつけ、美しい姿勢を保ちます。あお向けになり両膝を立て、両手を太ももに。息を吸いながら両手を膝へ滑らせ、息を吐きながら5秒間静止。ゆっくりと戻します。

コツコツ栄養補給

骨をつくるのに欠かせない栄養素。毎日の食事が骨を強くします。

カルシウムを摂ろう

Organic almond milk and almonds

①吸収率が高い乳製品

カルシウムは体内になかなか吸収されにくいという特徴があります。効率よく摂るためには吸収率に注目することも重要です。 カルシウムを多く含み、しかも吸収率が高いのが乳製品です。

②乳製品・大豆製品を1日2品

大豆もカルシウムの豊富な食品です。豆腐や厚揚げ、がんもどき、きな粉などは消化もよく効率的。 牛乳やヨーグルトなどの乳製品や大豆製品を1日2品取り入れましょう。

③魚は骨まで食べられる調理を

骨や殻まで食べられる小魚や桜えびはカルシウムの宝庫。砕いてふりかけにすれば消化吸収も◎。 イワシや小アジは南蛮漬けやマリネなど、酢で骨ごと柔らかくして食べられる工夫を。

④カルシウム剤やサプリメントを利用するときは

カルシウムの過剰摂取は血管障害のリスクを高めたり、ほかのミネラルの吸収を阻害する可能性も。サプリメントを利用する場合は、1日の摂取量を参考にし、摂りすぎないよう注意。

カルシウム摂取を増やすコツ

画像引用

一般社団法人 Jミルク

①スキムミルクを積極的に活用

カルシウムとたんぱく質が豊富で、しかもカロリーが低い乳製品がスキムミルク。カレーやシチュー、天ぷらの衣に混ぜると牛乳嫌いの人でも乳製品を摂りやすくなります。

②牛乳と和食のコラボ“乳和食(にゅうわしょく)”

和食に牛乳・乳製品を使用した“乳和食が人気上昇中。 サバの味噌煮や豚汁などの調理の際に牛乳を加えれば、 おいしくてカルシウムもたっぷり。味噌や醤油の量が少なくてすむので減塩効果も。

他にも撮りたい栄養素

①コラーゲンの材料たんぱく質

骨を鉄筋コンクリートに例えるとコンクリート部分がカルシウム、鉄筋部分がコラーゲンに当たります。コラーゲンの材料はたんぱく質。肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などに多く含まれます。

②カルシウムの吸収を助けるビタミンD

ビタミンDは摂取されたカルシウムが小腸から血液中に吸収されるのを助けます。また、カルシウム を骨に沈着 (石灰化) させて骨を強くします。イワシ丸干し、サケ、干し椎茸などに多く含まれます。

③骨の質を改善する ビタミンK

ビタミンKは、骨の石灰化を調節するオステオカルシンというたんぱく質を活性化させたり、骨に直 接働いて骨の質を改善します。小松菜やほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜に豊富。

知っておきたいコツコツ情報

「背が縮んだ」と感じたら受診

骨がスカスカになると、 背骨が自分の体重に耐えきれなくなり、気づかないうちに骨折していることが。「背が縮んだ」「背中が曲がってきた」と感じたときは受診を。

骨粗しょう症の情報をゲット

公益財団法人骨粗鬆症財団では、骨粗しょう症に関する情報紙「カノープス」 をメールで隔月配信(無料)。レシピや 運動など、骨を元気にするヒントがデータで届きます。

登録はhttp://www.jpof.or.jp/canopus/

骨量を測定して骨の状態を知ろう

骨粗しょう症の早期発見・早期治療のためには、骨量を測定し、骨の状態を知ることが大切。 自治体で検診を行っていることも。近くの保健所などに問い合わせてみましょう。

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引用

classA Life

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