花粉症の人にとって憂うつな季節になりました。花粉症の症状を少しでも軽くするには免疫力の維持向上が大切。そのポイントは「睡眠」「食事」「運動」の3つです。免疫力の維持向上は新型コロナウイルスの感染予防策にもなります。
まずは花粉症対策の基本をおさえよう
●適切に薬を使用する

主にくしゃみ、鼻水、かゆみを抑える薬、すぐに鼻水を止める効果のある薬、特に鼻づまりに適して いる薬、目のかゆみを改善する点眼薬などさまざまな薬があります。まずは薬剤師に相談を。
●花粉を体内に入れない
花粉症の引き金となるのが花粉。症状を悪化させないためにも花粉を体内に入れないことが重要です。外出時にはマスクやメガネを着用する、花粉が付着しにくい衣服を選ぶなどを心がけて。
●花粉症と口腔アレルギー
花粉症の人の10人に1人が、特定の野菜や果物を食べたあとに口や唇、のどがイガイガしたりかゆみが生じたりする口腔アレルギー症候群をするとの報告が。花粉で口の中に症状がある場合は医療機関を受診して。
秘儀①睡眠で負けない

睡眠不足は自律神経を乱し、 免疫低下につながります。質の良い睡眠のためのポイントを紹介します。
●昼寝は夕方までに30分以内
30分以上寝てしまうと深い眠りに落ちて、日覚めたあとの眠気が強くなり、体がだるくなります。 夜の睡眠に影響しないように夕方までに取るのも昼寝のコツ。
●布団を外に干さない
どうしても外に干したいときは体に触れる面を内側にして。取り込んだあとは付着した花粉を布団クリーナーなどで除去することを忘れずに。
●寝室に花粉を入れない
花粉が付着した衣類のまま寝室に入ると、ホコリ と一緒に飛散する可能性が。着替えてから寝室へ。横になる前に枕元の花粉も拭き取って。
●寝つきの悪い人は入浴を工夫
ぬるめのお湯にゆっくりつかって体温を上げておきましょう。その後、約1時間半で体温が下がってくるので、そのタイミングで床に就けばスムーズな取りに。
●パソコンやスマホを夜遅くまで見ない

パソコンやスマートフォンの画面が放つブルーライトは、眠気を誘発するメラトニンの働きを抑え、睡眠を妨げます。ゲームなどで夜更かしすると睡眠不足の原因にも。
●夜寝る前の室内は暗めに
寝室環境を整えるのも大切。明るい光では目が冴えてしまうため、寝室の照明が明るいと睡眠の質が低下します。寝室は暗めにして静かな環境で眠りましょう。
●鼻づまりには横向き寝
つまっている方の鼻を上にして横向きで寝てみて。鼻づまり側の交感神経が刺激され鼻の血管が収縮し、通りがよくなります。
●朝日を浴びて体内時計をリセット
体内時計の1日は24時間と少し。それをリセットして現実の時間に合わせてくれるのが朝の光です。起きたらさっとカーテンを開け、朝の光をしっかり浴びましょう。
●朝食は和食がおすすめ
大豆製品に多いトリプトファン、魚に多いビタミンB6を朝に摂ると、夜には睡眠ホルモンのメラトニンを生成。和の朝食に定番の大豆や魚は理にかなった食事です。
秘儀②食事で負けない

免疫力の源は食事。規則正しく栄養バランスのとれた食事が基本です。食物と一緒に異物が侵入しやすい腸は、免疫細胞の約7割が集合する体内最大の免疫器官です。腸に優しい食べ方のコツを紹介します。
●よく噛んで食べる
噛むことで唾液の分泌が促進。唾液には消化酵素が含まれていて、 胃腸での消化吸収を助けます。またしっかり噛むと、野菜に多く含まれるファイトケミカルという免疫活性物質をより多く吸収でき ます。1口30回噛みましょう。
●冷たい物は控える
冷たい物を食べると腸の働きが低下して下痢や腹痛などの原因に。また、消化酵素をはじめとした酵素が最も効率よく働ける温度は約37℃。冷たい物が体内に入ると消化酵素が十分に働かず、消化不良を招きやすくなります。
●腹八分目を心がける
食べすぎると胃腸がマヒし、回復するまでに3~4日かかるといわれます。また、食べすぎは肥満の 最大の原因です。肥満の人はある種の腸内細菌が少ないとの報告もあります。食事量は腹八分目 程度に抑えましょう。
●いろいろな物を食べる
偏食をすると栄養バランスが崩れるだけでなく、腸内環境が悪くなります。それが誘因となって腸 内細菌のバランスが乱れることに。特に肉食ばかりだとどうしても野菜不足になり、善玉菌が減り 悪玉菌が増えてしまいます。
●積極的にとりたい食べ物
腸が元気な状態であれば腸に集まる免疫細胞も活性化。その力をフルに発揮できます。
①腸内環境を整える食べ物
腸内環境を整えるのに役立つ食べ物が発酵食品です。ヨーグルトには乳酸菌やビフィズス菌、漬物には乳酸菌、納豆には納豆菌が含まれます。発酵食品以外では、ビフィズス菌や乳酸菌が配合されている青汁などもあります。
②腸内細菌のエサになるオリゴ糖
腸内環境を整えるのに有益な働きをする腸内細菌の好物がオリゴ糖です。多くのタイプが消化酵素に分解されずにそのまま腸に届きます。ゴボウやタマネギ、バナナ、大豆などの豆類などに多く含まれるほか、甘味料としても売られています。
③第六の栄養素といわれる食物繊維
<腸内細菌のエサになる水溶性食物繊維>
腸内細菌によって発酵することにより、乳酸菌などの善玉菌を増やします。また、粘りが強いので腸内の不要物を吸着し排出を促します。コンブやわかめ、コンニャク、大麦などに含まれます。
<便のカサを増し腸内環境を整える不溶性食物繊維>
腸内に便がたまると免疫細胞の働きが鈍ります。不溶性食物繊維は腸内の水分を吸収して膨らみ、便のカサを増やして便通を促します。穀類や豆類、野菜、ココア、きのこなどに含まれます。
④味方になる油
魚油に豊富に含まれるDHAやEPA、しそ油やえごま油、亜麻仁油に多いα-リノレン酸などのオメガ3脂肪酸は、アレルギー症状を緩和します。酸化しやすいので生の状態での利用がおすすめ。
●アルコールやスパイスで症状が悪化
この時期、花粉症の人の鼻粘膜は過敏になっているので、さらに刺激する要因を加えると症状が悪 化。アルコールやスパイスは血管を拡張して鼻粘膜をうっ血させるので、鼻づまりがひどくなります。
秘儀③運動で負けない

体を動かすと、血流がよくなったり熱産生が高まったりして免疫細胞の働きが活発になります。
●軽い運動を毎日の習慣に
1週間に1度激しい運動をするよりも、軽い運動を毎日行うほうが免疫力アップにつながります。血流の悪いところがあると血液中の老廃物が流れずにたまっていき、コリとなって現れます。運動 はコリの解消にも役立ちます。
●やってみよう!家の中でできる簡単タオル体操
寒い日や雨の日でも関係なくできる運動をご紹介します。タオルを両手で持つことでバランスがと やすくなり、転倒を防ぐことができます。各運動を5~10回繰り返します。
①背筋伸ばし
寒いとつい背中を丸めがち。両手を大きく上げて姿勢を正して。腕の大きな動きにより上半身全体もほぐれます。両足を肩幅くらいに開き、両手でタオルの端を持ちピンと張ったら、ゆっくりと両手を上げます。脇を伸ばすことを意識して。
②肩伸ばし
肩周辺の筋肉を伸ばすので、肩こり解消に最適です。背中もまっすぐにして行うので姿勢を正すこともできます。タオルを持った両手を上げたら片方の腕を曲げ、もう一方の腕はタオルを引っ張るようにして斜め下に下ろします。
③ウエストねじり
お腹の横の筋肉だけでなく、肩周辺の筋肉も鍛えることができます。ウエストをスッキリさせる効果も。両足を肩幅くらいに開き、両手でタオルの端を持ったら腕を伸ばしたまま胸の高さまで上げ、上半身をねじります。
④タオルはさみ
ももの内側の筋肉は体のバランスをとったり、股を開いたりする場合に重要な役割を果たします。背中を伸ばして行って。イスに浅めに腰かけて両足を閉じ、丸めたタオルを両膝の間に、ももの内側 の筋肉に力を入れて両膝を内側に閉じます。
●激しすぎる運動は免疫力を下げる
激しすぎる運動をするとストレスホルモンが過剰に分泌され、免疫力が低下。実際、ハードなトレーニングをするアスリートは一般の人よりも免疫力が低下しやすいことが知られています。
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引用
“引用文献:classA Life”