薬剤師が勧める 『夏の暑さ攻略大作戦』

薬剤師コラム

梅雨開け宣言が続々と発表される今日この頃。地球温暖化の影響に加え、都市部ではヒートアイランド現象もあり、最高気温が30℃以上の真夏日や、夜間の最低気温が25℃以上の熱帯夜も増えています。昔の夏と現代の夏は違います。現代の夏に合った工夫が必要です。

5つの「知る」から始めよ

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」です。

●熱中症を知る

通常は、暑い環境や激しい運動などによって体温が上がると、 汗をかくなどして体内から熱を逃し、体温を一定に保ちます。熱の放出がうまくいかず、体に変調を来した状態が熱中症です。体内の水分や塩分不足により内臓や脳をめぐる血流が不足すると、めまいや立ちくらみ、こむら返りなどが起こります。さらに進むと頭痛や嘔吐、倦怠感、意識障害などもみられます。

●熱中症になりやすい人を知る

代謝が活発で脱水を起こしやすい乳幼児と、もともと体内の水分量が少なく、暑さやのどの渇きを感じにくい高齢者は、水分が不足しやすく、熱中症の危険が高まります。
糖尿病で神経や血流の障害が生じている人、腎臟病、心臟病、精神疾患の人は、 体温調節機能が低下することがあります。筋肉が少なくて発汗効率が悪く、脂肪が多い肥満の人も要注意。

●熱中症になりやすい場面を知る

炎天下でのスポーツ、山登りなどの野外活動、肉体労働をしているときなどに発生しやすくなります。草むしり、停留所でのバス待ち、自転車に乗っているとき、散歩中になる場合もあります。
暑くてもエアコンをつけずに窓を閉め切っていると室内は高温多湿になり、熱中症の危険が高まります。また、たとえ短時間でも、室温の上がりやすい車内に子どもを放置するのは危険です。

●正しい水分摂取法を知る

普段の生活をしていても、この時間は知らず知らずのうちにじわじわと汗をかいています。のどの渇きを感じなくても、こまめに水分をとりましょう。起床時や入浴前後も忘れずに水分摂取を。
通常の水分補給は水やお茶、ジュースなどでよいのですが、大量に発汗したときや熱中症の危険を感じたときなどは、塩分と糖分を含んだスポーツ飲料や経口補水液が適しています。
スポーツドリンクや経口補水液には糖分や塩分が含まれているので、平時の飲みすぎは注意しましょう。

●応急処置法を知る

涼しい場所に移し衣服をゆるめ、自分で飲める場合は、水分を補給。タオルなどを利用して、あおいで風を送り、首筋や脇の下、鼠頭部を氷で冷やします。 意識があるときも同様の処置を行い、 症状が改善しないときは医療機関へ。
声をかけたが返事がない、飲み物を渡したけれどむせて飲めないといったときは、意識障害が起きていると思われます。生命の危険が迫っているので、すぐに救急車を呼びます。救急車が来るまでの間、次の応急処置を行います。

生活環境に注意せよ

ちょっとした工夫で夏の快適度をアップ。

●エアコンと扇風機の活用

体を冷やさないために、 エアコンの風が直接体に当たらないようにするとともに、扇風機で部屋の下層にたまりやすい冷気を循環させましょう。室温は28℃を超えないようにします。 手元に温度計を置いて時々室温をチェック。

●太陽光をシャットアウト

窓からの直射日光は室温を上昇させます。窓の外にすだれを吊るしたり、よしずを立てかけたりして直射日光が当たらないようにしましょう。 アサガオやゴーヤなど、つる性の植物で窓を覆う緑のカーテンもおすすめです。

●戸外から涼しさを招く

昔から行われている“打ち水。水が蒸発する際の気化熱の働きで周囲の温度を下げることができます。日中の暑い時間帯での打ち水は、水がすぐに蒸発するため、あまり効果が得られません。朝夕に行うとよいでしょう。

●風鈴で涼しい気分

多くの日本人が「風鈴の音は涼しい」と思い込んでおり、この思い込みにより脳が体を涼しいときと同じ状態にさせるといわれています。ただし、風の強い日や夜間は家の中にしまうなど、近所に迷惑がかからないように気をつけて。

●整理整頓でスッキリ

モノが乱雑に置かれていると室内の風通しが悪くなるばかりか、見た目にも暑苦しく感じられます。スリッパやルームカーペットを汗や湿気を吸うイグサ素材等に替えるのも一案。素肌が触れても気持ちがよいです。

外出時のポイントを押さえよ

真夏の太陽が降り注ぐ中での外出は特に注意。

●熱をこもらせない衣服

袖口や襟口が広くゆったりとした衣服は空気の通りがよく、体の熱を逃がします。生地は吸水性、速乾性のあるものを。特に下着は吸水性にすぐれた綿などの素材を選びましょう。色は黒系より白系のほうが熱を吸収しません。

●携帯したいクールグッズ

頭や首に直接日光が当たらないように、つばの広い帽子をかぶりましょう。扇子を持ち歩いていればいつでも涼をとれます。最近は、水に浸してから首に巻く冷感スカーフや、勢いよく広げると生地が冷たくなるタオルなども出ています。

●歩く場所に注意する

日陰を選んで歩きましょう。信号待ちや停留所でのバス待ちの間も日陰に入りましょう。日陰で長く過ごすときは風通しがよい場所を選びます。たとえ日陰であっても、風通しが悪いと熱中症になる ことがあります。

●適度な休憩

炎天下で働いている人などは、休憩時に涼しい場所に行って体を冷やしたり、水分を補給したりして体調をリセットしましょう。屋外で開催されるイベント、遊園地や海に行ったときも同様に、時々暑さから逃れるようにしましょう。

暑さに負けない体づくりをせよ

“夏バテ知らず”の体で夏を元気に。

●有酸素運動と入浴で適度に汗をかく

ウォーキングなどの有酸素運動を、ややきついと感じる強さで、できれば1日30分、週に4日以上行いましょう。暑い日中は避け、朝夕の比較的涼しい時間帯に行いましょう。運動の前後だけでなく、運動中も水分を補給します。

ゆっくり入浴する事でじんわりと汗が出てきて新陳代謝が促されます。また、副交感神経が刺激されてリラックス効果が得られ、眠りにつきやすくなります。脱水防止のために、入浴の前後にコップ1杯の水を飲むようにしましょう。

●快適な睡眠を手に入れる

睡眠中は大量の汗をかくので、麻や綿、ガーゼなど通気性や吸湿性のよい寝具を選びましょう。最近は冷却ジェルが中に入った寝具用パッドなど、ひんやりした肌触りのクール寝具がいろいろ出ているので、利用するのもよいでしょう。

気温や湿度が高いと寝苦しくなり、睡眠不足の原因となります。寝る前にエアコンなどをつけて、部屋の温度と湿度を調整しておきましょう。 タイマーをセットして体が冷えすぎないようにすることも大切です。

●夏バテしない食事をとる

疲労回復のビタミンといわれ、豚肉やたらこ、大豆などに多く含まれるビタミンB1、暑さやストレスに対する抵抗力を高め、オレンジやブロッコリー、ほうれん草などに含まれるビタミンCを積極的に摂りましょう。

酢やレモンなどの酸味や、ショウガやネギなどの薬味は胃を刺激して食欲を促す働きがあります。そうめんやアイスコーヒーなど、冷たい食事や飲み物ばかり口にしていると胃腸への負担が増すので、ほどほどにしておきましょう。

●食中毒に注意

食中毒を防ぐポイントは、

①付けない(手洗いや器具の消毒など)、
②増やさない(低温管理、乾燥させるなど)
③殺菌する(洗浄、加熱など)です。

特に「殺菌する」ことを重視して、肉類や魚介類などはなるべく煮る、焼くなどの加熱処理を十分に行いましょう。

Keep on smiling!
管理栄養士による「食」に関するinstagramもチェック!!

引用

“引用文献:classA Life”

タイトルとURLをコピーしました