夏野菜の栄養をいただきます!
健康の維持に欠かせない野菜。厚生労働省が推進する健康づくり運動「健康日本21(第二次)」では、1日350g以上(うち120 g以上を緑黄色野菜)の野菜を食べることを目標にしています。
夏の暑さで体力は衰え、食欲も低下気味。だからこそ、夏が旬の野菜を積極的にとりたいものです。 旬の野菜は栄養価が高く、しかも安価。夏野菜を上手に料理に取り入れ、夏を健やかに乗り切りましょう。
緑黄色野菜と淡色野菜の違い
緑黄色野菜とは色の濃い野菜ではなく、可食部100g中にカロテンを600μg (マイクログラム) 以上含む野菜をいいます。
<主な野菜> かぼちゃ、小松菜、ほうれん草、にら、ニンジンなど
淡色野菜とは緑黄色野菜以外の野菜の総称です。淡色野菜という呼び方は正式なものではありません。<主な野菜> キャベツ、きゅうり、ごぼう、セロリ、玉ネギ、ナスなど
ポイントはプラス1皿
厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」によると日本人の1日当たりの野菜摂取量は280.5gで、目標値に70g不足。おひたしなどの小鉢1皿分の野菜料理が約70gです。食卓にもう1皿加えましょう。
野菜に多い栄養素
①ビタミン
人体の機能を正常に保つために必要な成分。野菜に含まれるβ-カロテンは、体内で皮膚や粘膜の健康維持に不可欠なビタミンAに変わります。その他、強い抗酸化作用をもつビタミンCやEも豊富です。
②ミネラル
体の機能の維持や調整に欠かせないミネラル。野菜には特に骨や歯の材料となるカルシウムや、ナトリウムを体外に排出するカリウムがたっぷり。たんぱく質が豊富な主菜とともにとることで吸収率がアップ。
③食物繊維
食物繊維は腸内環境を整えたり、便秘を予防・改善したり、食後の急激な血糖値の上昇を抑えたりなど、さまざまな生理機能をもっています。特に血糖値の高い人は、毎食野菜をとって、食後の血糖値上昇を抑えましょう。
組み合わせが大事
動物性食品と組み合わせることで野菜に少ないたんぱく質をカバー。ビタミンA、C、Eと一緒にとることで相乗効果を発揮します。
こんな人は野菜の摂取に注意
抗凝固薬のワーファリンを服用中の人は、血を固める作用のあるビタミンKを多く含む青汁やクロレラなどは避けて。腎機能が低下している人は、カリウムのとり過ぎに注意。薬剤師・医師に相談しましょう。
野菜別栄養と調理のポイント
代表的な夏野菜、それぞれの栄養を活かす調理法があります。
トマト
うまみ成分たっぷり。リコピンには強い抗酸化作用があり、ビタミンC・Eも豊富。ヘタがみずみずしく、皮にツヤとハリがあり、重みがあるものを選びましょう。
①オリーブ油との相性抜群
イタリア料理でよく使われるトマト。リコピンは油に溶けやすい性質があるので、オリーブ油との相性はピッタリ。
②リコピンは加熱すると吸収率アップ
ビタミンCは加熱すると減少しますが、リコピンの細胞壁は壊れるので吸収されやすくなります。しかも、うま味も増します。
③皮をむかずに食べよう
リコピンが最も多く含まれるのが皮部分。皮には不溶性食物繊維も多いので、皮つきのまま食べて栄養素を無駄なく摂取。
ナス
紫紺色はポリフェノールの一種、ナスニンによるものでカリウムも含みます。 ヘタのとげがとがっていて、 皮の紫紺色が均一でツヤがあるものを選びましょう。
①水に長くさらさない
アク成分のクロロゲン酸はポリフェノールの一種。また、ナスニンは水溶性なので、水にさらす場合は短時間ですませて。
②ぬか漬けで栄養アップ
ぬか漬けにすると、カロテンやビタミンB1、B2、 力ルシウム、カリウム、ナイアシンなどの栄養価が高まります。きゅうりなど他の野菜でも。
③天日干しでうま味凝縮
皮ごと薄く切り、ザルに並べて2~3時間天日干しするだけでうま味がグンとアップ。水分が完全に抜けたら長期保存も可能。
ピーマン
ビタミンCはトマトの4倍。β-カロテンも豊富。ヘタの切り口が新鮮で肉厚かつ弾力があり、皮にツヤがあるものを選びましょう。
①ピーマンのビタミンCは熱に強い
ビタミンCは一般的に熱に弱いのですが、ピーマンのビタミンCは熱に強く、加熱してもその量はほとんど変わりません。
②油で炒めるとβ-カロテンの吸収率アップ
β-カロテンは脂溶性のため、生より油で炒めるほうが効率よく吸収されます。カサが減るので、量も多くとれます。
③縦に切ると苦みが軽減
ピーマンの細胞は縦方向に並んでいます。細胞を壊さないように縦に切るとピーマン特有の苦みが出にくくなります。
カボチャ
国産は5~9月が旬。黄色い果肉はβ-カロテンの色。ビタミンC、E、カリウムも豊富。皮にツヤがあり、ずっしりと重く、ヘタが枯れているものを選びましょう。
①調理は皮ごと
皮にはβ-カロテンやビタミンC、 Eがたっぷり。 こうしたビタミンを有効に摂取するには皮ごと使うのがおすすめです。
②ヘタが枯れるまで追熟させる
かぼちゃは採りたてよりも、丸のままヘタが枯れるまで追熟させたほうが、水分が抜けて甘味が増し、 栄養価も高まります。
③電子レンジを上手に使って
かぼちゃの皮は硬いので包丁で切りにくいのが難点。でも、電子レンジで加熱すれば皮が軟らかくなり、楽に切れます。
キュウリ
大半が水分だが、カリウムやビタミンCを含みます。緑色が濃く、表面のイボがとがっていて、太さが均一のものを選びましょう。
①表面のイボは包丁でそぎとる
表面のイボは包丁の背でそぎとって。軟らかくしたいときは、皮に塩を振って板ずりを。ただし減塩している人は要注意。
②夏の水分補給にぴったり水分補給
漢方では、きゅうりは体を冷やす働きがあるといわれます。成分のほとんどが水分なので、夏の水分補給にも最適です。
③酢との組み合わせがオススメ
きゅうりにはアスコルビナーゼというビタミンCを酸化させる酵素が含まれています。酢を加えることで、その働きを抑えられます。
夏にしか食べられないおすすめ野菜
夏という限られた時期だけ食する贅沢を楽しみませんか。
ゴーヤ
苦みのもとはモモルディシンという成分で、胃液の分泌を促し、食欲を増進。加熱しても壊れにくいビタミンCも豊富なので炒め料理にも。
モロヘイヤ
β-カロテン含有量はほうれん草の2倍以上。ビタミンB 群、C、Eも豊富。包丁でたたいてねばりを出し、 納豆に混ぜたり豆腐にかけても。
つるむらさき
カルシウムはほうれん草の約4倍、抗酸化作用のあるビタミンCは約1.2倍。β-カロテン、カリウムも豊富です。 ビタミンB2、鉄も含みます。
ズッキーニ
カボチャの仲間。β-カロテンやビタミンC、カリウムを含みます。オリーブ油などの油で炒めると、β-カロテンの吸収率が高まります。
オクラ
特有のねばり成分は水溶性食物繊維のペクチン、ガラクタン、アラバンです。ペクチンには整腸作用やコレステロールを排出する働きがあります。
簡単!プラス1皿レシピ
栄養価がぐっとアップ、代表的な夏野菜を使った簡単料理を紹介。
※エネルギー、食塩相当量、とれる野菜量は1人分です。
スタミナきゅうり:夏の疲労回復に
〇調理時間:5分
○エネルギー:約50kcal
○食塩相当量1.0g
○とれる野菜量:100g
〇材料(2人分):
きゅうり2本
長ネギ 5cm
ニンニク 1かけら
ショウガ1かけら
ゴマ油 大さじ1/2
塩 適宜
〇作り方:
きゅうりは拍子木に切り、塩を振って軽くもんで置いておく。水分が出てきたら水気をきり、長ネギのみじん切りとすりおろしたニンニク、細切りにしたショウガ、ゴマ油を加え混ぜる。
ナスの胡麻みそ:カリウムでむくみ解消
〇調理時間:7分
○エネルギー:約90kcal
○食塩相当量:0.5g
〇とれる野菜量:15g
○材料(2人分):
ナス 2個
砂糖 小さじ1
大葉 2枚
すりゴマ 大さじ1
みそ 大さじ1/2
ゴマ油 大さじ1/2
〇作り方
みそ、砂糖、すりゴマを合わせておく。乱切りしたナスを油で炒め、合わせておいた調味料を加えてさっと炒める。火を止めて大葉の千切りを加え、全体にみそだれがからむように混ぜる。
フレッシュトマトのスープ:リコピンで紫外線対策
〇調理時間:5分
〇エネルギー:約70kcal
○食塩相当量:0.6g
○とれる野菜量:130g
〇材料 (2人分):
トマト 1個
玉ネギ 1/4個
コンソメの素 小さじ1/2
塩 少々
オリーブ油 小さじ2
〇作り方:
トマトは皮ごとざく切り、玉ネギは薄切りにする。鍋に300mlの湯を沸かしてオリーブ油以外の材料を入れて3分煮る。食べるときにオリーブ油を回しかけ、あればパクチーや大葉をちらす。
オクラのおひたし:食物繊維が豊富
〇調理時間:5分
○エネルギー:約20kcal
○食塩相当量:0.4g
○とれる野菜量:60g
〇材料(2人分):
オクラ12本
ショウガ 1かけら
しょうゆ 小さじ1
塩 適宜
〇作り方:
オクラは塩を振ってこすり、水で洗い流して産毛を取る。沸騰した湯でさっと茹でたら水に取り、水気をきって斜めに切る。千切りにしたショウガとしょうゆを加え混ぜる。
かぼちゃのバターしょうゆ:β-カロテンを効率よく
○調理時間:10分
○エネルギー:約100kcal
○食塩相当量:0.5g
○とれる野菜:75g
〇材料(2人分)
かぼちゃ150g (1/8個弱)
バター 10g
しょうゆ 小さじ
〇作り方:
かぼちゃは種とワタを取って食べやすい大きさに切り、レンジで加熱する(600Wで約4分が目安) 軟らくなったら熱いうちにバターとしょうゆを加えてからめる。
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引用
classA Life