
寝苦しい季節になりました。寝つきが悪いと熟睡できず、睡眠の質が低下します。しかも夏は夜が短 く、早起き・夜更かしになりがち。 睡眠不足が続くと夏バテにも。 夏こそ快眠を心がけましょう。
疲れやすい夏こそ睡眠が大事

質の良い睡眠とは?
下記の項目に該当するのが、質の良い睡眠。該当しない状態が長く続く場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
①布団に入って短時間で眠れる
一般的に、布団に入ってから30分以 内に寝つくことができればOK。もっと時間がかかる場合には入眠障害かも。
②途中で覚醒することが少ない
夜中に何度も目が覚める中途覚醒は加齢に伴い増える症状です。 ストレス、運動不足、不規則な食事なども原因に。
③朝スッキリと目覚める
毎朝、ほぼ同じ時刻にスッキリと目覚められたら質の良い睡眠。心身が休息から活動の状態へとスムーズに切り替わります。
④よく眠れた感覚がある
睡眠時間が短くても熟睡感があれば質の良い睡眠。逆に長時間寝たにもかかわらず、起床時に疲れやだるさが残っているときは熟眠障害の可能性が。
⑤日中、良好な状態で過ごせる
日中、頭がボーッとしたり倦怠感を覚えたりすると、活動量が低下します。生活の質に影響することも。
睡眠が健康にもたらす効果

私たちの眠りには深い眠りを含むノンレム睡眠とレム睡眠があり、睡眠中はこれを交互に90分前後の周期で4~6回繰り返します。
①成長ホルモンを分泌する
たんぱく質の合成や損傷した細胞の修復・再生を促す働きがある成長ホルモンは、入眠直後の深いノンレム睡眠時に多く分泌されます。
②免疫機能を維持する
免疫はホルモンと連動しています。 そのため、睡眠不足などでホルモンバランスが崩れると免疫システムは正常に機能しなくなります。
③自律神経の働きを整える
副交感神経が優位になると、体がリラックスして入眠しやすくなります。質の良い睡眠は体内時計や 自律神経の働きを整えます。
④疲労回復を促す
脳(心)の疲労は主にノンレム睡眠時に、体の疲労はノンレム睡眠時とレム睡眠時、特にレム睡眠時 に回復するといわれています。
⑤記憶を整理して脳に定着させる
入眠直後の深いノンレム睡眠時に新しい記憶が定着。レム睡眠時にも記憶した情報や、嫌な記憶や感情の整理などが行われると考えられています。
⑥脳細胞の老廃物を除去する
脳細胞の老廃物は、脳内をめぐる脳脊髄液によって細胞外に洗い流されます。この洗い流しは、ノンレム睡眠時に盛んに行われると考えられています。
⑦肥満を予防する
睡眠不足になると食欲を抑制するホルモン(レプチン)が減り、食欲を増進させるホルモン (グレリン) が増加するため、食べすぎになることがあります。
⑧血圧を下げる
睡眠時には副交感神経が優位になって血圧が低下します。しかし、睡眠不足になると体が休まらないので交感神経が活発化、血圧が上昇して、高血圧になりやすくなります。
夏のおすすめ睡眠対策

蒸し暑い夏は他の季節以上に眠りについての悩みが増えるとき。しかし、その多くは生活習慣を見直すことで改善できます。快眠を得られる生活習慣を、今日から実践しましょう。
朝の光を浴びる
朝の光を浴びることで身体のリズムが調節されます。睡眠を維持するメラトニンというホルモンの分泌が抑制され、覚醒が促されます。体内時計もリセットされます。
朝食をとる
朝、トリプトファンというアミノ酸をとると、セロトニンという物質を経て、夜、メラトニンに変わります。
トリプトファンは、食事からしかとることができません。 肉や魚、ご飯、大豆、乳製品、穀類などに多く含まれています。
よく噛んで食べる
噛むという行為では、側頭筋や咬筋などの咀嚼筋を動かします。するとその刺激が最も太い神経の三叉神経を介して脳に伝わりセロトニンの分泌を促します。
体を冷やしすぎない
体の中心部の体温(深部体温)は、 日中は高く夜間は低くなります。体温の高低差が大きいほど深い眠りに。 日中体を冷やしすぎると、高低差が少なくなり寝つきが悪くなります。
涼しい時間帯に運動
日中、積極的に体を動かして深部体温を上げておけば、夜間の深部体温との差が大きくなります。ただし、今の時期に運動をするときは涼しい場所や時間帯を選んで。
昼寝は15時までに
体内時計の影響で、日中は14時ごろに強い眠気を覚えます。夜の睡眠に影響を与えないために、昼寝は遅くても15時くらいまでに20分以内にとどめて。
夕食は寝る3時間ぐらい前までに
就寝前の食事は中途覚醒を増やすことが報告されています。また消化が悪いものを食べると、翌朝朝食を欠食し、体のリズムを乱す要因にも。食事が遅くなるときは、脂が少なく消化の良いものを少量にとどめて。
寝具や寝巻きは通気性の良いものを
寝具や寝巻きは通気性を重視し、麻などの素材を選んで。睡眠中は何度も寝返りをうつので、寝具は体を動かしやすいもの、寝巻は体をしめつけないデザインを。
遮光カーテンで外の光を シャットアウト
夏は日の出の時間が早く、睡眠時間も短くなりがち。もう少し寝たいというときは遮光カーテンで光をシャットアウト。真っ暗が苦手な人はフットライトなどで明るさを調節。
寝る前に水分補給
睡眠中は、発汗によって深部体温が低下し、水分も失われます。体内の水分が不足し、のどや口が乾燥すると良い睡眠の妨げに。寝る前にコップ1杯の水分補給を。
エアコンを上手に活用
熱帯夜にはエアコンの設定温度を28℃程度にして、寝る1~2時間前からタイマーで朝4時ぐらいまでつけたままに。覚醒のためには明け方、体温が上がることが重要です。
入浴は寝る1時間半前に
夏は、遅くても就寝1時間半ほど前までにぬるめの湯に入り、深部体温を上げすぎないように注意。入浴後は深部体温の低下を妨げないように、室温や寝具などを工夫して涼しく過ごして。
アルコールのとりすぎに注意
アルコールは心身の緊張をほぐすので、就寝前に飲むと入眠を早めます。しかし分解されると眠りが浅くなり、利尿作用も加わって夜中に何度も目が覚めます。
眠れぬ夜は感謝の気持ちを思い描いて
寝つけないときは「今日1日無事に過ごせて幸せ」と心の中で感謝。心が平穏になりリラックスして、眠りにつきやすくなります。
夢を見すぎていると感じる人は・・・
記憶に残るようなストーリー性のある夢を見るのは、主にレム睡眠時。覚えている夢は明け方のレム 睡眠時のもの。強い不安を覚える夢を頻繁に見るときは、ストレスや睡眠不足が原因の可能性が。
快眠エクササイズ&セルフケア

寝る前に心身の緊張をほぐしてリラックス。ゆっくりしたペースで行って。
脱力エクササイズ
筋肉に力を入れた後に脱力して筋肉を弛緩させるエクササイズ (筋弛緩法)です。
①顔
顔全体を中心に寄せ、奥歯を噛みしめながら10秒間キープ。次に一気に力を抜き15秒間休みます。これを3回繰 返します。
②肩
首をすくめるように両肩を上げて10秒間キープします。次の瞬間、フッと力を抜いて肩を落とし20秒間脱力。 これを3回繰り返します。
③全身
仰向けに寝て両手を挙げ、手の指先から足の指先まで全身を思いきり伸ばし10秒間キープ。次にフッと力を抜いて10秒間脱力。これを3回繰り返します。
478呼吸法
呼吸は自分の意志で自律神経に介入できる唯一の方法。ゆっくりした呼吸で副交感神経を優位に。4秒かけて鼻から息を吸い、7秒止め、8秒かけて口から吐きます。これを3回繰り返します。 ※ゆっくり深呼吸を数回行うだけでもリラックス効果があります
注意すべき睡眠と習慣

夜眠れない、日中眠いなど、眠りの障害にはさまざまなものがあります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が一時的に止まったり、浅くなったりすることで睡眠が妨げられます。睡眠中の酸素不足により心臓や全身の血管に負担がかかり、高血圧や脳卒中を起こしやすくなります。大きないびきをかくのも特徴。
むずむず脚症候群
日中は気にならないのに、夕方や夜間、安静にしていると太ももやふくらはぎなどの深部に 「むずむず」「チリチリ」した不快感が現れ、入眠が困難な状態になります。高齢者になるほど発症しやすいのですが、鉄欠乏も原因になるため、閉経前の女性にも見られます。
ナルコレプシー
日中、会議や運転中など寝てはいけない場面でも、強い眠気に襲われる病気です。感情が大きく変化するときに体の力が抜ける情動脱力発作も、代表的な症状。大きな事故や失敗につながることがあるので必ず受診して。
睡眠導入剤(睡眠薬)ってクセになるの?
近年登場した新しい睡眠薬は、以前に比べて、かなり依存性が低くなっています。そもそも睡眠薬は、無期限に服用するものではありません。睡眠の状態を医師に正しく伝え、場合によっては減薬・休薬を検討するとよいでしょう。
寝る前の電子機器の使用に注意
スマートフォンやパソコンなどの画面から出るブルーライトの強い光の影響だけでなく、こうした電子機器を使うと脳が興奮し、交感神経の働きが活発になって寝つきが悪くなります。
